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こちらでは、平成28年(2016年)に実施された
第62回 臨床検査技師国家試験 PM45〜58 病理組織細胞学
の解答と解説を掲載しております。
PM45 問題
病理解剖時に摘出された臓器の肉眼写真(別冊No. 6)を別に示す。臓器はどれか。

- 肺
- 肝 臓
- 脾 臓
- 膵 臓
- 腎 臓
解答と解説
解答:2
- 肺尖部は尖って、肺底部は広くみられる。
- 肝円索を境に右葉と左葉がみられ、右葉の下には胆嚢がみられる。また血液が豊富なことから肝臓が考えられる。
- 血流は豊富であるが、大きさは肝臓の半分以下である。
- 外観は白色の実質性臓器である。
- 楕円形で脂肪組織が豊富な外観がみられる。
PM46 問題
中皮細胞を認めるのはどれか。
- 鼻 腔
- 副鼻腔
- 口 腔
- 心囊腔
- 関節腔
解答と解説
解答:4
- 線毛円柱上皮細胞がみられる。
- 線毛円柱上皮細胞がみられる。
- 重層扁平上皮細胞がみられる。
- 中皮細胞は胸腔、腹腔、心嚢腔などの漿膜面を被覆しており、中胚葉由来の上皮である。
- 単層扁平上皮で被覆されている。
PM47 問題
炎症について正しいのはどれか。
- 発赤は晩期に出現する。
- 組織球は初期に出現する。
- 四徴には搔痒が含まれる。
- 化学的原因には放射線被ばくがある。
- ケミカルメディエータにはプロスタグランジンがある。
解答と解説
解答:5
- 炎症は発赤の初期に出現する。
- 好中球が初期に出現する。
- 発赤、疼痛、腫脹、発熱が四徴である。ちなみに機能障害を含めると五徴となる。
- 薬品、昆虫の毒などが化学的原因である。
- ケミカルメディエータとは細胞から細胞へ情報伝達を行う化学物質のことをいい、他にヒスタミンやロイコトリエンなどがある。
PM48 問題
胃癌について正しいのはどれか。
- 胃ポリープは高率に癌化する。
- スキルス癌(硬癌)は予後が良い。
- 早期癌には Borrmann 分類を用いる。
- 子宮体部への転移巣を Krukenberg 腫瘍という。
- 早期癌の定義ではリンパ節転移の有無を問わない。
解答と解説
解答:5
- 癌化の確率は低いとされている。
- スキルス癌はBorrmann分類の4型のびまん浸潤型に該当し、予後が最も悪い。
- 早期癌には肉眼的分類の0型が用いられている。Borrmann分類は進行癌に用いられている。
- 卵巣への転移巣をいう。
- 粘膜下層にとどまるものを早期がんとされている。
PM49 問題
固定液と組成の組合せで正しいのはどれか。
- PLP 固定液―――――ピクリン酸
- 中性ホルマリン―――硫酸ナトリウム
- 等張ホルマリン―――塩化ナトリウム
- ブアン(Bouin)液―――パラホルムアルデヒド
- カルノア(Carnoy)液―トリクロロ酢酸
解答と解説
解答:3
- 組成はパラホルムアルデヒド、リン酸緩衝液、リジン塩酸、メタ過ヨウ素酸である。
- 組成はホルマリンと炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムである。
- 生体内の塩濃度と等張のホルマリンである。
- 組成はピクリン酸、ホルマリン、氷酢酸である。
- 組成はエタノール、クロロホルム、氷酢酸である。
PM50 問題
クリオスタットによる凍結切片標本作製法について正しいのはどれか。
- 引き角は 90 度である。
- 薄切温度は-80 ℃である。
- 組織はゆっくり凍結する。
- 凍結前にアルコール固定する。
- 包埋剤はパラフィンを用いる。
解答と解説
解答:1
- クリオスタットはミノー型ミクロトームが設置されており、ミノー型の引き角は90度である。
- 薄切温度は-25~-20℃である。
- 氷晶の形成を防止するため、急速に凍結する。
- 固定前凍結切片作製法で行う。
- ゼラチンなどの水溶性包埋剤を使用する。
PM51 問題
腎臓の糸球体基底膜を観察するための染色法として適切なのはどれか。
- PAM 染色
- orcein 染色
- Giemsa 染色
- Alcian blue 染色
- Victoria blue 染色
解答と解説
解答:1
- 腎糸球体基底膜の染色に用いられる。
- 弾性線維とHBs抗原の染色法である。
- 病理ではヘリコバクターやスピロヘータの染色に用いられる。
- 酸性粘液の染色法である。
- 弾性線維の染色法である。
PM52 問題
癌の遺伝子異常を確認するのに適切な免疫組織化学的マーカーはどれか。
- CD3
- AlK
- CEA
- SMA
- desmin
解答と解説
解答:2
- T細胞マーカーである。
- ALK遺伝子変異は肺腺癌で陽性となる。
- がん胎児性抗原で、腺癌マーカーである。
- 平滑筋細胞マーカーである。
- 筋細胞マーカーである。
PM53 問題
大腸病変部の染色標本(別冊No. 7)を別に示す。染色法はどれか。

- PAS 反応
- Gram 染色
- orcein 染色
- Grocott 染色
- Ziehl-Neelsen 染色
解答と解説
解答:1
- 画像では、グリコーゲンを含んだ胞体を多数認め、アメーバ赤痢が考えられる。
- 細菌の一般染色である。
- HBs抗原の染色法である。
- 真菌の染色法である。
- 結核の染色法である。
PM54 問題
電子顕微鏡による診断が有用なのはどれか。
- 肝 癌
- 血管腫
- 膠芽腫
- 骨肉腫
- 糸球体腎炎
解答と解説
解答:5
- パラフィン切片標本で診断可能である。
- パラフィン切片標本で診断可能である。
- パラフィン切片標本で診断可能である。
- パラフィン切片標本で診断可能である。
- 糸球体の細かな病変を調べることができ、分類や診断に有用である。
PM55 問題
喀痰細胞診の Papanicolaou 染色標本(別冊No. 8)を別に示す。組織型はどれか。

- 腺 癌
- 小細胞癌
- 大細胞癌
- 扁平上皮癌
- 悪性リンパ腫
解答と解説
解答:4
- 腺腔様構造、核偏在、不規則重積性などの所見がみられる。
- 小型の裸核様細胞、鋳型状配列などの所見がみられる。
- 2024年現在は大細胞癌は推定組織型として用いられない。
- オレンジG好染性で奇怪な形をした異型細胞がみられ扁平上皮癌が考えられる。
- 腫瘍化したリンパ球のモノトーナスな増殖が特徴である。
PM56 問題
病理解剖について正しいのはどれか。
- 犯罪性の立証を行う。
- 医師以外が行うことはできない。
- 希少症例は遺族の承諾なしにできる。
- 人口動態統計のための正確な情報が得られる。
- 執刀者は事前に厚生労働大臣に届け出る必要がある。
解答と解説
解答:4
- 犯罪性の立証は司法解剖で行われる。
- 教授や准教授でも実施可能である。
- 遺族の承諾は必ず必要である。
- 正確な死因が正確な統計に反映される。
- 解剖を行う地の保健所長の許可が必要。
PM57 問題
健常成人の臓器重量で誤っているのはどれか。
- 脳―――――1,300 g
- 心 臓――――280 g
- 肝 臓――――1,100 g
- 脾 臓――――110 g
- 副 腎――――50 g
解答と解説
解答:5
- 1100~1300gである。
- 200~300gである。
- 1000~1200gである。
- 70~150gである。
- 7~8gである。
PM58 問題
ホルムアルデヒドについて正しいのはどれか。
- 発がん性がある。
- 分子式は CH₃OH である。
- 酸化されるとクエン酸になる。
- 医薬用外毒物に指定されている。
- 組織の固定には 15%水溶液が用いられる。
解答と解説
解答:1
- そのため、第二類特定化学物質に含まれている。
- ホルムアルデヒドはHCHOである。CH₃OHはメタノールである。
- 酸化されると蟻酸となる。
- 医薬用外劇物に指定されている。
- 10%水溶液が利用されている。
出典:厚生労働省ホームページ 第62回臨床検査技師国家試験問題および正答について
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp160411-05.html